注目される「改修・リフォーム」
補助金や住宅版エコポイント等の国による「既存住宅の改修・リフォーム工事」へのバックアップが多くのメディアにて注目されている。「今の住まいを、より快適で健康的な空間に」という声の高まりとともに、断熱や気密・耐震・耐久性の補強工事を行うことで、「長く使う」ことを選択する施主が増えている。それは結果的に、スクラップ&ビルドを繰り返してきた従来の家づくりが根本から見直され始めている、とも言えるだろう。この時流のなか、求められているのは「住宅改修への確かな技術」と「快適な住環境づくりの正しい知識」を持つ施工業者ではないだろうか。



 

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そこで今回、編集部は高崎市にある株式会社アライを訪れ、同社・新井政広社長にお話を伺った。平成13年から「改修・リフォーム」を研究し、技術を開発し続けてきた同社は、全国の工務店や公共の研究機関などが住宅技術の開発に尽力するNPOなどにも参加。専門家も注目する「断熱耐震改修リフォーム」の第一人者と呼べるビルダーである。
改修工事を望む多くの人が抱える問題。それは「冬寒く・夏暑い」ということに尽きるだろう。必然的に冷暖房器具に頼らざるを得ない生活は、環境・健康や結露など様々な弊害を生むことに繋がる。もちろん、老朽化した建物の耐震・耐久性への懸念も大きな問題である。それは一体なぜ起こるのか。その原因を新井社長は「在来木造住宅の構造的な欠陥」と指摘する。

いかに気流を止めるか
木造住宅構造において、壁や床・天井との取り合い部は天井裏や床下に開放されている。暖房時、室内の暖かい空気は壁内の空洞部も暖め、上昇気流を発生させ小屋裏へ抜けてしまう。一階の床下の冷気も壁内に吸い込まれるため、壁内では冷気流が発生し室内の熱を小屋裏へ流出させる。その時、暖かい湿った空気が壁内に侵入することになり、結露が生じる。躯体の耐久性にも影響を及ぼしかねない、この構造的な問題は、「改修の際に壁内の内装材をすべて剥がし、断熱材を詰め直しても同様のことが起こりうる」と新井社長は語る。(※図1参照)
では、この構造的な問題をクリアし、いかに既存住宅を快適な住環境に変化させていくのか。その答えは、同社の行う「壁内の気流を止める」改修工事にあるだろう。圧縮したグラスウールを、壁内の気流の起こる箇所に詰め込み、隙間を埋めていく。これにより、既存の50〜100㎜断熱材の本来持つ性能を取り戻すことができる。また、気密性能も向上することから、新築住宅のような性能が得られるという。(※図2参照)
「いかに室内の温度差をなくすことができるかが重要」と話す新井社長。この断熱改修により、ヒートショックの出にくい住環境の実現を目指す同社。省エネルギー性能・環境性能の更なる向上とともに、耐震性や耐久性の向上を図ることのできる「断熱改修」の普及は、住宅の高寿命化を計り、自然環境への配慮へも繋がっていくはずだ。


2010-12-03-2.jpg補助金制度の活用
同社の「断熱改修」が、これほどまでに注目を集める理由。その技術力の高さや信頼性はもちろんだが、様々な「補助金制度の適用」が可能、といった点もあげられるだろう。
例えば、新エネルギー産業開発機構「NEDO」による住宅・建築物高効率エネルギーシステム導入促進事業による補助金。次世代省エネルギー基準の住宅から更に25%以上の省エネ住宅に、最大で総額より1/3の補助が受けられる。他にも、注目を集める「住宅版エコポイント」の申請対象であることはもちろん、「既存住宅流通活性化等事業」によるリフォーム工事費の助成や、省CO2推進に向けた先導事業である「住宅・建築物省CO2先導事業」の補助も対象となる。
また、同社が加盟するNPO新木造住宅技術研究協議会の推進する断熱耐震同時改修プロジェクトが「長期優良住宅先導」の採択を受けたことにより、このシステムを使ったリフォーム工事に上限200万円という補助金を受けることも可能である。さらに、「地産地消」や「地域の活性化」にも積極的な同社は、県産材を一定基準量使用することで、はじめて対象となる「ぐんまの木で家づくり支援事業」をリフォーム分野においても利用できる。これら各種補助金の対象となる同社の「断熱改修」。この事実は、端的に同社の技術力・信頼性を裏付けるものだろう。
「改修リフォームは、信頼性と住宅に関する深い知識、そして何よりも正確な施工技術にあります」と語る新井社長。既存住宅の性能を蘇らせるためには、明確な理論に裏付けられた技術が必要だと力強く説明してくれる。だからこそ「頼んで良かった、と言ってもらえるのが一番」という言葉に、多くの施主は強い説得力と信頼感を感じることができるのだろう。リフォームやリノベーションといった言葉が先行する昨今において、同社の「断熱改修」はそのトップランナーとして、今後も注目され続けていくはずだ。