住宅の「高断熱化」が叫ばれて、
長い年月が経ったように思います。

「新住協」は、室蘭工業大学の鎌田教授が中心となり、
木造住宅における断熱の在り方の研究をし、
在来木造に適した断熱住宅工法の開発をしてまいりました。

昭和50年当時、いわゆる「ナミダ茸事件」が問題になりました。
この事件は、「きのこ」が原因で、新築住宅の床が2、3年で抜け落ちるという、
ショッキングな事故が北海道で起こっていたのです。

今では誰もが施工している「通気層工法」ですが、
当時、通気層工法の開発は一大センセーショナルであり、
透湿防水紙の役割の大きさを今さらに感じております。

当時の灯油1リットルは35円程度だったと記憶しておりますが、
住宅の断熱化は北海道を中心に、北東北から東北全土へと南下の道を歩み始めるのです。

ところで、「断熱住宅」はどんな良い所があるのでしょうか。

そもそも「断熱住宅」とは、
まぎれもなく「高断熱・高気密住宅」であります。

床や壁、天井に断熱材を隙間なく敷き込み、
この断熱材の持っている力を十二分に発揮してもらうために、
土台周りと壁の取り合いや、壁と天井廻りの取り合いに気流止めを設置して断熱材の保護をし、
空気の行き来を制限することで住宅内を暖かく保つ事の出来る住宅です。

断熱住宅は閉じれば「性能住宅」、
開ければ今までの住宅、
という事になります。

開け閉めは言うまでもなく「窓」という事になりますが、
窓の開閉で大切なのは、「夏の夜間」です。

深夜、外気温度が室温より下がりだしたら窓を開けてください。
深夜ですので防犯と雨には注意が必要ですが、
明け方、室温を何度まで下げられるかが問題です。

また、空気は比熱が他の建築資材に比べて小さいので、
沢山の量が必要になります。
そして夜間通風で十分冷やした住宅の窓を閉めて、
窓からの日差しをカット(遮蔽)して、性能住宅として使用します。