経済産業省は、建築物の実質的なエネルギー消費をゼロに抑える
ZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)と
ZEB(ゼロ・エネルギー・ビル)
の実現を目指し、
2012 年度から新規「住宅・建築物のネット・ゼロ・エネルギー化推進事業」に取り組む。

必要経費は12 年度予算の概算要求に計上する。
住宅・建築物に省エネルギー性能の高い高効率エネルギーシステムや
BEMS(ビル・エネルギー・マネジメント・システム)の導入者に対して一定額を補助する。
ZEH とZEBにより近づくよう、年間エネルギー消費量の削減率が高い場合は補助率をかさ上げする優遇
措置を講じる。



この推進事業は、現行の住宅・建築物高効率エネルギーシステム導入促進事業に替わる事業となる。
現行事業の交付基準は、年間エネルギー消費量を25%程度削減できることなど。
基準を上回る事業に対し上限を設けず事業費の3 分1 を補助金として交付している。

12 年度の推進事業からは、25%程度の削減率だけでなく、それ以上の50%や75%など複数の削減率を設定し、その削減率に応じて補助率も2 分の1 などとかさ上げする予定で「複
数の削減率と補助率を組み合わせた制度設計を検討している」(資源エネルギー庁)。
交付要件は削減率に加え、対象となるBEMS、空調、給湯、断熱、照明、換気の建築設備機器を複数導入することなどを想定する。
11 年度事業の予算は70 億円。12 年度は高効率エネルギーシステム導入のすそ野を広げるとともに、
ZEH とZEB の実現に近づく意欲的な取り組みも積極的に支援することから、要求額は100 億円を上回ると見込まれる。
推進事業は、エネルギー基本計画で掲げている「20 年までにZEH を標準的な新築住宅にし、
30 年までに新築建築物の平均でZEB を実現」との目標を達成することが目的。

「新築建築物の平均」は、エネルギーを消費する建築物とエネルギーを生み出す建築物を合わせて、
新築のネットでエネルギーの使用がゼロとなること。
推進事業は、設計事務所やゼネコン、設備工事会社にとって、民間建築物省エネ改修事業などの需要拡大にもつながるとみられる。

【資料】経産省の概算要求 (建設通信新聞2011/9/26 付)より